症状別症例のご紹介

症状別症例の図 1顔面部・首01 1顔面部・首02 2肩・腕・肘・手 2肩・腕・肘・手 2肩・腕・肘・手 3背中・腰 4下肢 4下肢 5不妊・逆子・女性特有の症状、小児 6自律神経と不眠 7内蔵からの症状

1. 顔面部・首

症例1「突発性難聴」

(30代・女性)

<主訴> ・突発性難聴

【鍼灸治療を受けるまでの経緯】
・8月11日、耳のつまりを感じ、夜中目が覚めると耳鳴りあり。翌日、耳鼻科を受診、突発性難聴との診断を受け、ステロイドとビタミンの点滴を開始。
・1週間まったく聴力が戻らず、不安になっていたところ、鍼も効果があると聞き、耳鼻科の先生の許可を得て、当院に来院(8/20)。

【初診・治療方針】
・症状としては、難聴・耳鳴り・耳閉感(耳のつまり)。
・身体の状態としては、自覚のない肩こりと便秘はあるものの、脈・舌・お腹の状態からみると健康体に近く、鍼に対する身体の反応も良い。
・セルフケアとして耳と首のマッサージ、および患側上肢への自宅施灸を指導。通院間隔は1週間に一度とする。

【治療内容】
・全身治療の後、患側の曲池・外関・合谷・中渚に施灸。
・患側の頚~肩周りを置鍼および単刺にて緩め、後頚部(翳明付近の硬穴)に円皮鍼。

【治療経過】
・2診目(8/28)⇒ 耳閉感のみ軽減。<点滴終了し、ビタミン剤の内服のみとなる>
・3診目(8/31)⇒ 聴力やや回復。騒音や音の響きも消失。
・4診目(9/3 )⇒ 耳栓をせずに(※)、外出可能。耳鳴りと耳閉感(つまり)が少し残っている状態。
    ※難聴なのに耳栓?と思われるかもしれませんが、突発性難聴が原因で起こる『聴覚過敏』という症状があります。
     対処法としては、この方のように耳栓を付けて騒音を防ぎます。

・5~6診目(発症後、約1ヶ月)
    ⇒ 聴力は左右同程度まで回復。耳閉感あり。耳鳴りはあるかないか程度。
     首周りの固さは残っていたが、患者さんの希望により治療を終了とする。

【西洋医学的な観点からのまとめ】
・突発性難聴の前兆として、耳鳴りや耳が詰まった感じ、めまいを伴うこともあります。聞こえにくいと感じたら、すぐに(48時間以内に)耳鼻科を受診して、治療を受けてください。
・突発性難聴の原因は不明で、治療法も確立されていません。耳鼻科での適切な治療と安静が基本となっています。
・症例の患者さんの場合、すぐに適切な治療を開始したこと、年齢が若く、めまいを伴っていないなど、比較的治りやすい条件が揃っていたこともあり、治療効果が得られたのだと推察されます。

【予防医学としての鍼灸】
・突発性難聴の原因は特定されていませんが、「ストレス、過労、睡眠不足、血流障害」などが挙げられています。
・鍼灸治療は、発症後の治療回復にも効果を発しますが、疲労やストレスの緩和、睡眠の質や血流の改善、生活習慣の見直しなど、病気の予防にも大きな効果を期待できますので、ぜひご活用ください。

症例2「左顔面神経麻痺」

(50代・男性)

<主訴> ・左顔面神経麻痺

【鍼灸治療を受けるまでの経緯】
・3月1日に発症し、ステロイドの点滴を11日まで受ける。効果は感じていたが、その後ビタミン剤と血液の循環を良くするお薬を飲むだけになってしまい、不安を感じていたところ、近隣の整骨院の先生から当院のことを聞き、発症後2週間の時点で来院。

【初診・治療方針】
・柳原法にて初診時の状態を確認したところ、目を閉じる動作に関しては、完全には閉じられないが、閉眼動作ができないわけではない(軽度麻痺)。口笛やイーと歯を見せる動作は、明らかに左右差がみられた(やや高度麻痺)。
・2週間後に、左肩看板断裂の手術を受けるため、入院することが決まっていたので、それまでの2週間は週2回のペースでの来院をすすめる。

【治療内容】
・顔全体へのローラー鍼、左顔面部への置鍼、八分灸。
・(全身治療)その日の状態に応じて、肝・胆・肺経のツボ<大敦、足臨泣、小商など>を選穴。

【初診から1ヶ月後】
・初診時では完全に閉じられなかった目も閉じることができ、口笛などの動作も正常となり、6回の治療にて終了。

【考察】
・どんな症状にも共通して言えることだが、発症から来院までの期間が短いほど、治療効果は出やすい。
・顔面神経麻痺の症状に気づいた時には、すぐに耳鼻科を受診してください。病院でのステロイド治療と並行して、できるだけ早めに鍼灸治療も始めると、完治の可能性が高くなります。

症例3「ある日突然発症した顔面神経麻痺」

(40才 女性 奈良県橿原市)

〈主訴〉・左顔面の麻痺

【鍼灸治療を受けるまでの経緯】
・朝起きていつも通りに生活していると、今日はなんとなく顔に違和感があるように感じており、顔を洗おうと洗面台に立った時に、自分の顔の左半分が歪んでいることに気づいたとのこと。すぐに病院に行ってみてもらったところ「顔面神経麻痺」「ベル麻痺」と診断され、ステロイドの点滴を1週間続けたのちに、ビタミン剤の薬を現在も続けて飲んでいるが、顔のゆがみがさほど改善されず知人に鍼灸の事を聞き、インターネットで当院の事を知り来院に至る。

【初診・治療方針】
・初診時左の顔半分が歪んでおり口笛を吹いたり、口をふくらませたりする動作ができない。完全に目を閉じることができなく涙が常時でている。眉毛の高さも左右差が明らかである。人目が気になるので顔にマスクをしている。
麻痺の程度としては大きいが、発症してまだ10日程度であり他に回復を妨げるような病気も持っておらず、週2回の定期的な治療で改善する可能性が高い旨を説明。

【2~3回目】
・1、2回目の治療後は特に変化はみられないとのこと。

【4回目】
・3回目の治療を受けた後、その日は今までになかったような体のダルさがでて家に帰り早めに寝てしまった。次の日に起きると顔の麻痺の程度が半減し、特に目元周りがほぼ完全に目を閉じれるようになり涙の量も気にならない程度になった。

【8回目】
・口元が少し動きにくいが、外見的には言われてもわからない程度まで回復する。

【15回目】
・口元の動きも違和感なく動くようになったが、「また症状が再発するのでは?」と不安なので週に1回のペースで続けたいとのこと。1ヵ月程度更に続けてみて、体の状態、顔の状態が安定していれば一度様子をみても大丈夫であると説明する。

【19回目】
・顔の麻痺も回復し状態も安定しているので完治と判断し治療を終了する。

【考察】
・今までの経験からすると顔面神経麻痺は、
①発症後できるだけ早くに鍼灸治療をすること
②初期はステロイド等の治療と並行する
③他に大きい病気をもっていない
この3つの状態だとより完治しやすいと思われる。今回は女性のかたでもあり無事に完治され、本当にいい形で治療を終了でき胸をなでおろした。顔面神経麻痺は急に発症することが多いが、完治するためには即座に病院受診と、鍼灸の治療を開始するのが大事である。

症例4「風邪をひいてから味がしない、臭いがしない」

(50才 男性 奈良県葛城市)

〈主訴〉①味がしない
    ②臭いがしない

【鍼灸治療を受けるまでの経緯】
・3ヵ月前に風邪をひき、その後より味も臭いもまったくわからなくなった。今までも風邪をひいた後によく似た症状を経験しており、風邪が治ってくると味や臭いも元に戻ってきたので、今回もそうだろうと初めは考えていた。しかし今回のようにまったく味や臭いが消えてしまうことはなかったし、これほど長期間になるのも初めてで不安である。医大の医師は風邪のウィルスだろうと言い、近くの診療所の先生は漢方薬をすすめてくれたが、効果がみられなかったのでインターネットで当院のことを知り来院に至る。

【初診・治療方針】
・味や臭いは感覚的なものなので日常生活の中での詳細な問診を行うと、味はなにを食べてもゴムをかんでいる感じがするが、辛いものだとピリピリして少し辛味がわかるかもとのこと。臭いはまったくわからない。治療は極々浅い鍼治療のみを行う。週1回の治療を、三ヵ月の間隔で状態を再評価していく方針で行う。

【2~4回目】
・2回目の治療後より、ふとした時に臭いを感じるときがあるとのこと。味は変化なし。

【5~8回目】
・日によって違うがみそ汁とすまし汁の味の違いや、排気ガスやたばこの臭いと食料品などの臭いの区別など、はっきりした臭いや味はわかるようになった。薄い味や、かすかな臭いはわかりづらい。

【13回目】
・濃い味やはっきりした臭いはわかるようになった。7割程度は回復したように思うとのこと。まだ薄い味やかすかな臭いはわかりづらいが、日常生活に支障がなくなったので一度様子をみるとのことで治療を終了する。

【考察】
・風邪をひいた後に味や臭いがしなくなる時がよくある。多くは自然と治っていくが、一部の人が治らないままで経過する。今までの経験からするとよく体がむくむ人や、細身で神経質な人が発症する場合が多い。同時にでることもあり味覚だけや嗅覚だけの時もあるようである。味や臭いがしないと食べていても全然おいしく感じない。食べることは人生の喜びにも通じるので、あきらめずに治療を受けてみることをお勧めする。


2.肩・腕・肘・手

後日追加予定


3.背中・腰

後日追加予定


4.下肢

症例1 坐骨神経痛「半年前より続く右お尻~足先までの焼けつくような痛み」

(84才 男性 奈良県生駒郡斑鳩町)

〈主訴〉①右のお尻より足先までの痛み痺れ、焼けつく感じ
    ②10分と座っていられない、5分以上続けて歩けない

【鍼灸治療を受けるまでの経緯】
・半年前より右のお尻から足先にかけて、急に焼けつくような痛みが現れだした。今まで大きな病気もしたことがなく健康体だったので、ビックリして急いで近所の総合病院整形外科で診てもらった。担当の先生に「腰の骨から神経にきている可能性が高い」と説明されMRIの検査をしたが特に異常が見当たらず、それどころか歳の割に腰骨の曲がりや老化も少ないと言われた。その時に腰にブロック注射の治療を受けたが、注射後2時間は楽になるぐらいで、またすぐに痛みが戻っていた。そのような注射の治療を10回ほど続けていた時に、近所の人に鍼灸治療を勧められ、以前からあるのは知っていた土庫鍼灸治療所にかかってみることにした。

【初診・治療方針】
・半年前からの痛みということだが、整形外科でのMRI検査で異常がなかった通り、実際に腰の骨の曲がりはなく腰の筋肉の緊張も少ない状態だった。お尻より足先にかけて、ちょうど神経が走っている真上に症状が現れていること、実際に足に触れても熱はもっていないのに、焼けつくような熱感を感じていることから神経痛の症状があり、どこかで神経を圧迫していると判断し説明した。神経の圧迫しやすい部位を入念に探していくと右のお尻のほっぺたから尾てい骨にかけてずっと力を入れているような筋肉の緊張があり、そこの緊張を緩める様に治療を行なったところ、治療中より下半身の力が抜けていくような感じがするとのことであった。発症して半年という慢性化してこじれる前の段階であり、4、5日間隔で治療を続けるように説明する。

【2回目】
・前回治療後その日は少し体全体のだるさを感じたが、次の日より10段階評価の痛みだと10から4に軽減する。が、4日程経つとまた段々と戻っていき8ぐらいまで戻った状態で2回目の治療を受ける。

【3回目】~【5回目】
・2回目の治療の後はだるさなどは感じず10段階評価で3まで軽減し、30分ぐらいなら座れるようになったとのことであった。また歩くのも歩きやすくなったとのこと。
 その後治療しては戻るという状態を繰り返す。

【6回目】 ・痛みに波はあるが10段階評価で3~1の間ぐらいで安定しているとのこと。1~0ぐらいまで痛みが軽減し、長時間座っても歩いても痛みが増さないのなら一度様子をみてもらってもいいと来院指導をする。

【7回目】
・2~1ぐらいで安定しており、あとは普段の生活でよく歩くことで自然と回復していく旨を説明し、また症状が戻ってきたりすれば来院することとして一旦略治とした。

【考察】
・比較的高齢ではあるが、腰骨の変形なども少なく、筋肉の緊張が原因で発症する坐骨神経痛のタイプであったので順調な経過を辿っていったと思われる。また慢性的にこじれていく前の段階であり、元々の体が健康なのもすぐに改善に至った要因でもある。

【治療後の感想】
・最初はブロック注射で治っていくだろうと思っていたが中々治らず、ずっと不安な状態が続いた。夜も痛みで目が覚めたりしてあまりぐっすり眠れず精神的にも限界だった。鍼治療は昔に受けたことがあったのでさほど怖くはなかったが、痛みが軽減するかは受けるまでわからず、一度受けて変わらなかったらやめようと思っていた。すぐに効果がでたので何度か続けてみようと思った。

症例2「お尻から足の指先までの痛み痺れ」

(62才 男性 奈良県橿原市)

〈主訴〉・左のお尻から足外側、足親指の痛み痺れ

【鍼灸治療を受けるまでの経緯】
・仕事柄重いものを持ったり運んだりする倉庫での仕事をしており、そのためか慢性的な腰痛持ちであった。今回は仕事をしている最中に左の腰が「ピキッ」と言い、筋違いのような痛みが走り「これはギックリ腰になったのでは?」と思っていると、その直後から左のお尻のあたりが重たく感じだした。その日は仕事を早退し家で横になり安静にしていたが、次の日の朝目覚めると左のお尻から足の外側、足の親指がジンジンして痺れているような状態になっていた。
ビックリしてすぐに近所の病院の整形外科を受診し、レントゲンをとったところ「腰の骨には異常がない」と言われ、炎症を止めるための注射と薬を処方された。
しかしそれから2日経っても症状がやわらいでくるどころか、さらにきつくなってきたため知人に紹介されて当院を受診した。

【初診・治療方針】
・慢性的な腰痛を持っているということであったが、やはり腰の血色が悪い状態であった。腰の疲労がたまっていくと筋肉に影響してギックリ腰になるか、腰の神経に影響して神経痛を引き起こす。神経痛の感じ方は色々であり、痛みや痺れの他にいつもと違う違和感や熱く感じたり冷たく感じたり、時には麻痺する場合もある。今回は神経痛を引き起こしていた。発症して間もないこと、片足のみの神経痛症状であることから数回の治療で軽減していく旨を説明し、約1週間ごとの治療間隔をお願いした。初回の治療は鍼灸治療が初めてということもあり、極弱い刺激量で行った。

【2回目】
・前回治療したその日は何か体が気だるい感じがしたが、次の日より朝起きると足の痛み痺れの範囲が明らかにせばまっていた。具体的には左お尻から膝のあたりまでの範囲だけ痛み痺れを感じる。足指の痛み痺れは消失した。

【3回目】
・今回は治療後の体のだるさは感じなかった。前回時より更に痛み痺れの範囲がせばまりお尻の重だるさのみが残る程度まで軽減した。

【4回目】
・若干の腰のだるさ、お尻の重だるさはあるが、今回の治療で一度様子をみてもらってもいい程度だと判断し、今回の治療で経過を見守ってもらうことにした。

【考察】
・下半身の神経痛は、脳や背骨の奥にある中枢神経由来や、内臓からくる神経痛でなければ鍼灸治療(特に発症して日にちが浅い例)で3回以内には必ず良くなっていく。3回程度治療した時点で継続有無の判断をすることが多く、必要がなければ様子をみてもらって、また症状が出そうな時や出てきたときに来院してもらうようにしている。


5.不妊・逆子・女性特有の症状、小児

後日追加予定


6.自律神経と不眠

後日追加予定


7.内蔵からの症状

後日追加予定